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FLAC 44.1 kHz, 16 bit
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Orchestra Tokyo
Yoshihide Miyanoya, Conductor

Total Time : [00:33:59]
Copyright : Yoshihide Miyanoya

Ludwig van Beethoven
Symphony No.4 in B flat, Op.60

1. Adagio - Allegro vivace
2. Adagio
3. Allegro vivace
4. Allegro ma non troppo

Time : [00:33:59]

2013-06-06
Tokyo College of Music
Tokyo, Japan

よく演奏家の間で話題になるもののひとつに「ベートーヴェンの交響曲の中で最も難易度が高い曲はどれか?」という問題があります。もちろん息づくような音楽を作るには、9曲全てそれぞれに特有の難しさがあるには違いありませんが、敢えてどれかと問われれば、私はこの以前からこの第4番と答えています。木管楽器のソロ、金管楽器の音域やリズム、弦楽器のパッセージや刻み、限界を試すような難しさでありながら、それを苦に感じているようではこの音楽が持つ輝かしさは死んでしまう。惹きつけていくようなにするようなシンコペーション、遊び心溢れるヘミオラ、ひとつのフレーズを楽器の音色を最大限生かすような細かい掛け合い、叙情的でありながら急激なクレッシェンドやデクレッシェンド。楽譜を読んでいると、あたかもベートーヴェンからのオーケストラへの挑戦状を受け取っているような気さえします。ですがこれほど楽しい、幸せな挑戦状もないと言えます。

音楽室に飾られていたしかめっ面の肖像画のせいでしょうか、それとも耳が聞こえないという不遇なエピソードのせいでしょうか、ベートーヴェンは、交響曲第5番や第9番の冒頭に代表される苦悩や葛藤の作曲家であるというイメージが一般的であるように思います。しかし、ベートーヴェンの本質は、この曲のもつ湧き上がるような「生きることへの喜び」、そして2楽章の包み込むような「ともに生きる人への愛情」にあると私は確信しています。曇り空を突き抜けた青空のように私は感じます。どの楽器も非常に技術的に厳しい音楽ですが、その難しさを超えて歌うところにこそ、本当の歌があるとベートーヴェンは言いたかったのかもしれません。細かいフレーズや伴奏にいたるまで、すみずみが生き生きと変化をもたせながら歌を持ち続けられるようにリハーサルを重ねました。

この曲は有名な第5番や第6番の作曲の構想に着手した後、その作業を中断してのベートーヴェンにしては珍しく、短期間に一気に書き上げられた交響曲で、ベートーヴェンの本質が素直に表現されているようにも思います。録音に当たって、まずはソロであろうと対旋律であろうと刻みであろうと、どんな局面でも明快な発音で、かつ自然に楽器をよく鳴らしてもらえるように心がけました。オーケストラトウキョウのメンバーは20代前半が中心の若く熱心なメンバーで、彼らの溢れるような音楽へのエネルギーと集中力が、この曲のもつ躍動感にぴたりとはまった会心の録音となりました。ぜひ多くの方にお聞きいただきたいと思います。(Miyanoya)

オーケストラ・トウキョウ
宮野谷義傑(指揮)